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大掃除

2018.12.21

 精神科デイケア“アミーゴ”では、大掃除をプログラムとして年末に毎年行なっています。

メンバーも参加する形での実施となっています。

過去の精神科の歴史の中で問題となった“使役”(スタッフが立場を利用して、利用者に雑用として業務をやらせること)にはならないように留意しながら行なっています。

 

 メンバーが日頃最も使う場所はデイケアセンターですが、それ以外にも“機能回復訓練室”があり、そこは、SST、ピアサポートグループ関連グループ、各疾患の心理教育プログラム、調理等、機能的なリハビリテーションプログラムが行われる場です。

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 それらに参加なさっているメンバーが主に、そこの大掃除を担当しました。

 

 従来の他の場所の大掃除では、行なうことを自分で見つけて行なうメンバーがいる一方、何をやってよいかわからず立ち尽くしているメンバー、スタッフに指示を仰いで行なうメンバー、行なう人数が多いことで掃除自体に参加せずに座っているメンバーなど、いろいろなメンバーが見受けられました。

 

 そこで今回は試しに、スタッフ(私)が事前に機能回復訓練室の掃除箇所をピックアップしておいて表を作成し、その部署を統括するリーダー役のメンバーをひとり立てて、そのメンバーが中心になって各メンバーへ行なう掃除の内容を割り振って掃除をしていく、という形式で行ないました。

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 2人のメンバーが立候補、または他メンバーから推薦される形でリーダーとなり、掃除箇所を大きく二分して行ないました。

 

 ただ、その形式で行なった結果、様々な賛否の意見が後日スタッフ間で挙がりました。

・「いい方式なのかもしれないが、実行する前に事前に他スタッフに『こういうやり方でやります』と提示してほしい」

・「従来の他の場所の掃除の方式と異なるので、実際に行なうメンバーも、事前に説明がないと戸惑いが生じるだろう」

 

 スタッフからは“事前の説明”に関する意見が主で、更には大掃除以外の他のプログラム(調理等)においても、担当するスタッフによって行なう方式が左右される現状の課題の話にまで至りました。

 

 それを踏まえ、実際にリーダーを務めた2人のメンバーにインタビューし、今回の方式を用いて掃除を行なったことと、リーダーを務めたことに関する感想・意見を語っていただきました。

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<メンバー小関さんより>

・表があることで、掃除箇所を漏れなく行なえたかどうかの最後の確認に役立った。

・リーダーとしては、他メンバーに指示をせずに自分でやってしまった方が早いな、と思うところもあったが、何やったらいいのかわからないのか立っているだけのメンバーがいて、その人に「やって」と箇所を指定して頼んだら、一生懸命にやってくれた。なかなか自分ではやることを見つけられないメンバーには、表があることと、指示することが役立つ面もあると思った。

・表に書いてある内容以外にも、やるべき内容を挙げてくれたメンバーもいて。私は思いつかなかったけど、そうやって補い合えるといいと思った。

・大掃除は1年に1回でもやるといいなと思った。いらない物とかいろいろ出てきて。

 

<メンバー鈴木さんより>

・今就労や障害年金のことなどが気になっていて、うつ気味だった中でリーダーをして、上手くいかなかった感が残り、落ち込んでしまった。バリバリ動いてやっている小関さんと比べてしまったところもあった。他のメンバーに指示を出したのに自分は何も作業していない、という時もあった。それが気になった。

・指示出しをすること自体は抵抗はそんなになかった。

・スタッフに、リーダーを立てての指示方式をいきなり提示されてびっくりした。

・表があったので、掃除でやるべきことをある程度形にできた面はある。

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 リーダーをつとめた2人のメンバーからの意見を集約すると、表を用いての行なうことの事前リストアップ・それを元にしたリーダーの指示形式は有用だった、ただ事前説明があるとなおよかった、ということになると思われました。

 

 以上のようなスタッフ間での意見、リーダーをつとめたメンバーからの意見を総合し、来年以降の実施に役立てられたら、とスタッフも学んだやり取りでした。

 

 精神科デイケア“アミーゴ”では、何のために支援をしているのかを意識して支援を行なうこと、そしてそれが真にメンバーの役に立つことを意識して支援を行なうこと、を常に念頭に置いています。

 今回の大掃除プログラムでは、メンバー各々が“役割を担う”体験をしつつ、メンバーが自分たちで行なえることにスタッフがあえて手を出すことはしないで、メンバーが自分たちで成し遂げる体験をしていくことに役立てられたら、ということでの新方式の試験的導入でしたが、スタッフ(私)としては、今後も様々な意見を集約しながら支援を成熟させていきたい、という思いを新たにした、今回の大掃除プログラムを通しての体験でもありました。

 

精神科デイケア“アミーゴ”スタッフ


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